カルトさんとの会話で、カルマの証明について質問がありました。

インド占星術、また人の運命論の根幹となる考えなので、その有無・証明については、大いに議論したいところであります。

少し、その存在の根拠となる事象を取り上げてみたいと思います。

 

〔序言:形而上学的な事象の証明について〕

裁判や科学的証明でもそうですけど、人に納得してもらうためには、証拠・根拠というものがどれだけあるか、どれだけ説得力があるかで決まってきます。
理由が『ただなんとなくそう思うから』、『信じられないから』では、人を説得するには少し根拠に乏しくなります。

私もそうですけど、自分が『何を知っていて』、『何を知らないか』、それを探ってみると、たいていの場合、本当は自分は何も知らないことに気づきます。
特に形而上学的な事についてはそうです。
神や地獄・天国の存在、死後の世界・・・これらは在ると言う人も、無いという人も、たいてい根拠に乏しい場合が多いです。

おそらく形而上学的なことは、どこまで行っても完全な証明なんかできません。
どれだけ『根拠』を集めても、『証明』となる十分条件にはならないでしょう。
だから、『根拠』は推測にしかならず、『おそらく真実だろう』というところまでしか持っていけません。
しかし、『根拠』を集めれば、非常に説得力が増します。

こんな話があります。
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農夫の土地に侵入し、鶉を撃ったとして男が訴えられた。被告の弁護士は、農夫を混乱させようとした。

「さて、あなたは、この男が鶉を撃ったと断言できますか」と弁護士が尋ねた。

「その男が鶉を撃ったと言ったのではありません。その疑いがあると言ったのです」と農夫は答えた。

「ええ、まさにそこのところです。なぜあなたは、この男を疑ったのですか」

「そうですね。第一に、銃を持っているその男を私の土地で捕まえたこと。
第二に、銃声が聞こえたあとで数羽の鶉が落ちてきたこと。
第三に、その男のポケットから四羽の鶉が見つかったこと、
そしてそれは、鶉たちがポケットに飛び込んでいって自殺したものとは考えられないからです」

と農夫は答えた。

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農夫がいくら根拠を示しても、直接的な証明にはならないでしょう。
しかし、限りなく説得力は増すことになる。(この男が鶉を撃ったのは、ほぼ間違い無いというところまで!)

上記のように、神とかカルマとか輪廻転生とか死後の世界とか、そういったことは証明はできないから、いろいろな実際の事実から、それらしいことを推測したり、仮説を立てていくより仕方が無いです。

私は研究職という仕事柄、仮説を立て、実験事実と見比べるという作業をよくします。(というか、そればっか。)
しかし、時にお互いが矛盾する結果が出たりすることがあります。
私は、自分の『論』と『事実』が違う時、事実の方を捨てるということはしません。
捨てられるのは『自論』・『仮説』の方であり、事実ではありません。
事実を事実と認め、それに対して新しい『理論・仮説』を構築します。
事実が違うのに、自論にしがみつくということは、ただ、自分が間違っているのを認めたくない、または論争で負けるのが悔しいという、『我』の働きに過ぎないです。

だから、これを読んでいる人も、私が反論できないような根拠・理由を示してくれれば、私はすぐにでも意見を変えます。
もしそうなれば、明日から輪廻転生・カルマ論を口にすることも無いでしょう。
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〔概要〕

輪廻転生とカルマは、多くの場合ワンセットで扱われる概念なので、ここでは両方を扱います。

輪廻転生とカルマの存在には、以下の根拠が上げられます。

  1. 自然科学からの推論(因果律・作用反作用の法則)
  2. アガスティア・ナディなど
  3. 占星術
  4. 聖者の言葉による検証(サイババ、キリスト)
  5. 前世を記憶する子供たち
  6. エドガー・ケイシーのリーディング
  7. ジョエル・ホイットン教授の研究
  8. 自然界に見られる循環

以下に、順次説明していきます。

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〔1.自然科学からの推論〕

【因果律】

物理学とは基本的には因果律(原因と結果)を求める学問です。
量子力学では、確率論的なものになり、因果律は破たんしていますが、これは電子や光などの微小な現象を表すものであり、マクロ的な古典力学では、基本的には因果律で示すことが可能です。

http://www.weblio.jp/wkpja/content/%E5%9B%A0%E6%9E%9C%E6%80%A7_%E5%9B%A0%E6%9E%9C%E5%BE%8B

これを心や魂のレベルにまで引き上げたのが、カルマの法則ということになります。

『しかし、因果律自体ははあったとしても、過去世の自分と現在、または未来の自分に、直接的な因果関係はないだろ!』 仰るかもしれません。

でも、物理学には、『作用反作用の法則』というものがあります。

 

【作用反作用の法則】

作用反作用の法則というのは

『ある力を他方に及ぼす時、一方が受ける力と他方が受ける力は向きが反対で大きさが等しい』という法則です。

簡単に言うと、「相手を押すと、同じ力で自分も押される」という法則です
驚くべきことに、これには例外則はなく、どんな系でも成り立ちます。(一部、ローレンツ力には見た目成り立たない例があるけど、相対論まで入れると成り立ちます。)

「力を与えたもの」に、「同じ大きさの力」で、「逆向きの力」がかかる
というのがポイントですね。

カルマ的に言うなら
「与えた本人」に、「同じもの」が、「返ってくる」 と見れます。

『善きことであれ、悪きことであれ、与えたものが返ってくる』とするカルマの法則は、作用反作用の法則を精神・魂のレベルまで引き上げたものと取ることができます。

反論として、

『作用反作用は物質を使う物理学で成り立つ法則で、目に見えない心や魂のレベルにまで応用するのは拡大解釈しすぎでしょ!』と仰るかもしれません。

そうなのかもしれませんが、ただし、心の作用は一般に成り立ちます。
人は、与えられたものと同じものを変えそうとします。
これを示す私の好きな金子みすずの詩がありますね。

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『こだまでしょうか』  金子みすず

「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「ばか」っていうと
「ばか」っていう。
「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。
そうして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、
いいえ、だれでも。

カルトさんが、原理主義者さんに言い返したように・・・
また逆に、原理主義者さんがカルトさんに言い返したように・・・
これらは体験をもって明らかだと思います。

作用反作用は心にまで作用しているのが分かります。
魂・生命のレベルでもそれが成り立つかを検証しようがないですが、物質や心で成り立つのなら、魂のレベルでもそれを行われいると仮定するのは自然なことだと思います。

これもあくまで推論であり、証明にはなりませんが・・・
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〔2.アガスティアの葉など(ナディ占星術)〕

インドには過去・現在・未来が記述されている葉っぱがあります。
何千年も前の聖者が、個人の運命について書かれた物です。
有名なものはアガスティアの葉です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%81%AE%E8%91%89

有名人の中にも結構見てきた人はいます。

ちなみに私も読んできました。
http://indian-vedic-astrology.com/nadi.html

アガスティアの葉は、今生における過去はほぼ100%当たります。
例えば、誕生日、自分の名前、親の名、家族状況、仕事、病気、結婚、配偶者、何歳の時にこの葉を読みに来るかまで書かれています。
これらはまず外れません・・・過去がほぼ100%当たるというのは、多くの人に共通します。

その中で現在の苦しむ原因も書かれていまして、「過去に~をした。このことが、今生で~という形になって、あなたを苦しめている」みたいな書き方がなされます。
私は、過去に女性をだましたとか、正当な報酬を与えなかったとかで、結婚や仕事において苦しむことになっています。

これは、輪廻転生とカルマの法則そのものを言っているの他なりません。

過去世の記述は正しいか検証のしようがありませんが、現在をこれほどまでに当てられると、この過去世の記述だけが間違いとするのは、合理的でない気がします。

葉っぱを読んだ人には結構衝撃的でして、カルマや輪廻転生を認めざるを得なくなる体験となります。

ただし、Wikiにも書かれている通り、未来については、当たったり、当たらなかったりです・・・処方箋をやるやらないでかなり変わってきます。的中率は50%ぐらいかな(たぶん、処方箋をしっかりやれば、結構、書かれている通りになるのでしょうが、比較検証していないので何とも言えません。また葉っぱのクオリティにもよります)。
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〔3.占星術〕

インド占星術は輪廻転生・カルマ論を基にしています。
なんせ、その人のチャートは過去世の行為の結果が現れるものとされますので・・・

過去のカルマと一致したその日、その瞬間、人は誕生するとされます。
インド占星術は、人のカルマを見る手段と言えます。

占星術師にしか分からないと思いますが、星と運命とは相関があることは明白です。
それはもう、信じる・信じないを通り越して、事実であるとも言えます。
ならば、その根底にあるカルマや輪廻転生も否定できないことになります。

もしろん、占いは当たらない時もありますので、そういう方には迷信と言われても仕方ないですが・・・
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〔4.聖者の言葉による検証〕

聖者も輪廻やカルマについては、多く言及しています。
聖者だからと言って、必ずしも正しい保証なんてありませんが、私たちより高い洞察力を持っているという前提で話せば、ある程度の根拠にはなるでしょう。

【サイババによる事例】

以下は昔読んだ話なんで、うろ覚えで、出典も分かりません。こんな話だったとしか分からないので、多少異なるかもしれません。ご了承くださいm(__)m
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あるサイババの信者が、K村に行くことになった。
サイババは、彼にこんなことを語った。

「あなたは前世で、ある人物に殺されました。
あなたを殺した人物は、現在、K村に転生していて、テワリ(仮)という名で呼ばれています。
あなたは興味深い体験をするでしょう。」

その信者が、K村に行くと、道に数人の人だかりができている。
その信者が何事かと聞くと、あるいたずらな犬が、車に轢かれて死んだとのことだった。
犬の名前を聞くとテワリという名だった。
—————

輪廻転生で犬に生まれ、カルマ則で車に轢かれたと取ることができます。

また、サイババには盲目のバジャン・シンガーなどの話もあります。
これも、輪廻転生やカルマを肯定する出来事です(ある意味、それを凌駕しているが・・・)

またサイババ自身は、シルディのサイババ生まれ変わりとされます。
2011年に亡くなりましたが、また8年後、プレマ(愛)・サイババとして生まれてくると仰っていました。(生まれる場所はカルナータカ州で、次はキリストのような風貌です。)

また、和尚(ラジニーシ)は、自分の前世はチベット僧で、悟りを得て輪廻が終わるはずだったが、わざと自殺して、和尚(ラジニーシ)として生まれてきたと、和尚の本のどこかで読んだことがあります。

他にもインドの聖典、仏教聖典には、数えきれないほどの輪廻に関する論・逸話の記述があります。

チベットのダライ・ラマも、多くの審査を受けて、前のダライ・ラマの生まれ変わりとされます。
https://matome.naver.jp/odai/2134266873249430501

 

【キリスト教における記述】

サイババやインド人聖者、仏教・ヒンドゥーイズムを信じない人にとっては、上記は単なるでまかせ・偽り、何の根拠にもならないと感じるでしょう。

そんなわけで、一応、カルトさんを意識して、聖書からの例も挙げます。
クリスチャンにとっては、サイババの言葉は何の権威もないと思いますが、聖書の記述はある程度、根拠を持つものになるでしょう。

聖書には以下のような記述があります。

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『そして、もしあなたがたが受けいれることを望めば、この人こそは、きたるべきエリヤなのである。』

-マタイ 11: 14

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『弟子たちはイエスにお尋ねして言った、「いったい、律法学者たちは、なぜ、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか」。

答えて言われた、「確かに、エリヤがきて、万事を元どおりに改めるであろう。

しかし、あなたがたに言っておく。エリヤはすでにきたのだ。しかし人々は彼を認めず、自分かってに彼をあしらった。人の子もまた、そのように彼らから苦しみを受けることになろう」。

そのとき、弟子たちは、イエスがバプテスマのヨハネのことを言われたのだと悟った。』

-マタイ 17:10~13

—————-

上記をの部分をもって、輪廻転生ととる人もいます。

 

また、聖書には

『撒いた種は刈り取られなければいけない』のような事が書かれています。

———–

人は種を蒔けば、その刈り取りもすることになります。
自分の肉のために蒔く者は、肉から滅びを刈り取り、御霊のために蒔く者は、御霊から永遠のいのちを刈り取るのです。
善を行なうのに飽いてはいけません。
失望せずにいれば、時期が来て、刈り取ることになります。』

-ガラテヤ人への手紙6章7節~9節

—————

上記は、カルマの法則と同じことを述べている気がします。

また、キリスト教には地獄と天国の記載がありますが、
いわゆる、地獄に落ちる、天国に昇るというのは、そういう実際の国に行くのではなく、

『悪いことをすると地獄を体験する
良いことをすると天国を体験する』

という意味だと解釈しています。

これは、言っていることは、『良いことをすれば良いことが返り、悪いことをすれば悪いことが返る』 というカルマ論と同じことではないでしょうか?
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〔5.前世を記憶する子供たち〕

輪廻転生の直接的な根拠として、前世の記憶を持つ子供たちが多数報告されています。

ヴァージニア大学精神科の教授だったイアン・スティーヴンソンは、おもにアジア地域で、前世の記憶を語る子供たちの証言を集め、『前世を記憶する子どもたち』という本を出版します。
約2300例もの膨大な数を集めましたが、その調査には不思議な事例が多数見られました。

本人しか知り得ようのないことを語ったり、前世と同じ傷、人格、癖などを示します。
http://www.02.246.ne.jp/~kasahara/parapsy/previousmemory.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3

他にもたくさんの事例があります。
http://karapaia.com/archives/52219990.html
http://karapaia.com/archives/52183980.html

また、こんな話もあります
http://ikiruimi.jp/sigo/rinnetensei/

上記の例は、輪廻転生を肯定しないと、つじつまが合いません。
輪廻を否定する人は、上記の例をどう説明するのでしょうか?

これらの事実には、輪廻転生が存在する、ある程度の根拠になると思われます。
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〔6.エドガー・ケイシーのリーディング〕

20世紀最大の予言者と言われたエドガー・ケイシーは、多くのリーディングをしています。
エドガー・ケイシーによると、ある次元には「アカシック・レコード」と呼ばれるものがあり、これまでのすべてことが記録されているそうです。
この記録を、エドガー・ケイシーはある領域に入っていき「読む」ことができました。
この、エドガー・ケイシーが催眠状態に入って語ったことを“リーディング”と呼びます。

彼は輪廻転生を肯定したリーディングを多数しています。
http://www.eccj.ne.jp/
https://www.caycegoods.com/aboutCayce

「エセ超能力者のたわごとだろう」と言う方もあると思いますが、例えば、エドガー・ケイシーの医療リーディングは、後になって科学的に分かったこともあり、現在でも多方面に利用されています。
あれほどの(第6感的?)知覚をもった人が、嘘を言うとはあまり思えません。
ある程度、信憑性は増すのではないでしょうか?

ただし、未来に関する予言は外れることが多いです(日本が沈没とか)
彼自身は、未来は変わると言っていますので、それはそれでいいのかもしれませんが・・・
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〔7.ジョエル・ホイットン教授の研究〕

催眠を使って、死後の世界研究している人もいます。

輪廻転生も肯定しており、なかなか面白い記述です。

http://indian-vedic-astrology.com/brog-1/2014/09/28/%E3%80%90%E9%81%8B%E5%91%BD%E3%81%A8%E8%87%AA%E7%94%B1%E6%84%8F%E5%BF%97%E3%80%91%EF%BC%9A%E6%AD%BB%E5%BE%8C%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C%E2%91%A0/
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〔8.自然における循環〕

自然は様々なことを教えてくれます。

自然では何かが途切れることは無く、常に循環・回っています。
季節が巡り、水も循環します。
惑星は太陽の周りを公転し、さらにその惑星は自転をする・・・
昼と夜、眠りと覚醒、生態系、CO2⇔O2・・・
この世は、全て循環するようにできている・・・

http://indian-vedic-astrology.com/brog-1/2014/10/20/%E3%80%90%E9%81%8B%E5%91%BD%E3%81%A8%E8%87%AA%E7%94%B1%E6%84%8F%E5%BF%97%E2%91%A5%E3%80%91%EF%BC%9A%E8%BC%AA%E5%BB%BB%E3%81%A8%E8%87%AA%E7%84%B6/

生命だけが回らない(=輪廻しない)とするのは、不合理ではないでしょうか?
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とりあえず以上ですが、自然界からの推論や、輪廻やカルマがあった方が辻褄・合理性がある程度であり、完全な証明にはなりません。
ただ、これだけあれば、ある程度の根拠にはなるのではないでしょうか?

個人的には、輪廻転生やカルマ則があると思った方が理論的に自然だと思います。

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