ハウスの象意  WHAT HOUSES INDICATE


惑星

一般的なテーマ
精神性
第1室
第1室は、身体とか健康の良し悪し、あるいは人生の最初の時期、子どもの成長、全般的な性格などを表します。 第1室は、自分自身に関係するハウスです。人間生活の精神的側面に気づき始めることを暗示します。もし3つないし4つ以上の惑星が第1室にあるとき、あらゆる障害を乗り越えて、自己をコントロールすることに成功するでしょう。

第1室からは、平安を享受したいという願望が生じ、「放棄」しようとする傾向が現われます。なぜならば、放棄には段階があり、最初に身体の放棄から始まるからです。これを理解するためには、古くから伝わる4つのプルシャルタ(Four Purusharthas)という教えを知る必要があります: 最初は、ダルマ(Dharma:宗教行為)、2番目はアルタ(Artha:お金を稼ぐ欲求)、3番目は物質生活を楽しむカーマ(Karma)、そして最後はモクシャ(Moksha:解脱に向かって努力すること)です。

重要なことは、アセンダントの支配星は悪い位置(第6室、第8室、第12室)にあってはならないということです。また、アセンダントとその支配星は、土星や火星、ラーフ、ケートゥによって傷つけられてもいけません。とくにこれらの惑星とコンジャンクトしてしまうと良くありません。このような場合、健康は保証されないでしょう。健康なくしては、なにも達成されません。精神的な達成もありえません。しかし稀には、病弱ながらも放棄の精神が強いので、精神性がずば抜けて高い人もいます。しかしわたしたちは「健やかな身体の上に、初めて高い精神生活が築けるのだ」という前提のもとに進んでいくことにしましょう。

第2室
第2室からは、家族(自分の妻子ではなく両親や兄弟姉妹)、スピーチ、食事、金銭的な収入、死などについて知ることができます。 家庭環境によって精神性の傾向が決まります。第2室は、生まれ育った家庭環境にかかわるハウスです。信仰や精神性に関する傾向は、一般に親の影響を強く受けます。第2室は、それとは別に、スピーチのハウスでもありますから、惑星(特に木星、金星、水星)が傷ついているかどうかを調べることにより、その人が真実を語る傾向があるのか、それとも嘘をつく傾向があるのかを知ることができます。第2室は、お金儲け等の稼ぎのハウスでもあります。その人が、お金や物を布施するかどうかも、このハウスで見ることができます。(注意:布施に関するハウスとしては、第12室のほうがより重要です)
第3室
伝統的に第3室は、弟や妹、短い旅行、手紙や速記を見るのに使われるほか、最近ではスポーツや芸術的な才能、ビジネスを見るのにも使われます。 第3室は、勇気や度胸を表します。もし第3室にラーフやケートゥ、土星、火星などの凶星があるとき、このハウスは吉に転じ、強い意志をもって修行に向かうことを意味します。(※聖者パラーシャラによれば、第3室は説法を意味するとされています) 第3室はまた、短い巡礼を意味します。ウッタラ・カーラームリタ(Uttata-Kalamrita)によれば、第3室は親指と人差し指の間の手のひらを意味しますが、多くの宗教的儀式は手のこの部分を使うとされています
第4室
母親、土地、乗り物、幸せなどが、古くから伝わる第4室の中心的なテーマです。最近は、医院、アトリエ、慈善団体、工場などを見るのにも使われています。 建物を意味する第4室は、宗教施設や宗教的な組織を意味します。 個人のベルでは、第4室は静かな環境下にある家やアシュラムで規則正しく精神的な生活を送りたいという願望を表します。ヨーギーの場合、第4室はプラーナーヤーマ(呼吸法)を表します。しかし第4室が傷ついているとき、このような人は居場所を転々としなくては精神的な生活が続けられないと考えます。
第5室
第5室の中心的なテーマは、教育、知性、子供、識別能力です。(※もっとも、教育は第4室のテーマであるとする人もいます) インド占星術の重要な点は、惑星が自分の支配するハウスに対してアスペクトを形成すると、そのアスペクトされたハウスの良い意味合いが強まることです。この傾向は第5室において特に重要です。というのは、マントラとヤントラの潜在的力は、第5室において現実のものとなるからです。というのも、第5室は自分の過去世における精神的な功徳を表すと同時に、父親の現世における精神的な功徳を表すからです。第5室が吉相のとき、経典や修行によって得られるヴィヴェーカ(Viveka:識別)、すなわち経典や精神的な修行から得られる識別能力や奥深い神秘的な智慧を授かることができます。
第6室
ケガや病気、反対、負債などは第6室の否定的なテーマです。肯定的なテーマとしては、富の蓄積(アルタ・トライン〔artha trine〕の第2番目のハウスである為)、スポーツ、冒険、父親の仕事などがあります。 修行者の人生には、15種類の障害があるとされています。これらの障害によって、修行者は理想的な修行の道筋からそれてしまうことがしばしばあります。このような障害を乗り越えるという意味において、第6室に在住する凶星はいつも良い方向に働きます。 第6室の凶星は、無病息災を確かなものとします。精神的な生活を送る上で、第6室は一点に集中する力を養います。
第7室
伝統的には結婚、最近では同棲も第7室のテーマです。これから派生して、妻や愛人、性生活もこのハウスに関連付けられます。最近では、ビジネスやビジネスパートナー、外国、外国移住、死を見るときにも、このハウスを使用します。 セックスのハウスである第7室は、性エネルギーを昇華させるハウスでもあります。クンダリニー と呼ばれる性ネルギーが上昇すると性欲は愛に昇華されると同時に、クンダリニーの上昇に伴って神秘的なヴァイブレーションを感じることができます。
第8室
遺産、相続、突然の収入、遺言などは、第8室の肯定的なテーマです。否定的なテーマは、長患い、死因、性生活や夫婦生活などが含まれます。秘密、ヨーガ。 第1室のところで説明した第4室からのトライン は精神性と解脱のハウス(モクシャ・ハウス)です。そして第8室は、そのトラインにおいて2番目のハウスにあたります。しかし、第8室は秘密のハウスなので、人里離れた場所や独房での修行を意味します。ですからこのハウスは、サマディ に至ろうとする過程で味わう修行上の挫折などによる苦悩を象徴するハウスでもあります。
第9室
父親 (父親に関しては、第10室とあわせて見る必要があります)、精神性における傾向、献身、学習、巡礼、法曹界の人との関係、宗教界の人との関係などが、このハウスによって判断できる一般的なテーマです。このハウスは幸運のハウスなので、このハウスがよければホロスコープ全体の運気も良くなります。 第5室に次いで、精神的な発達とかかわる重要なハウスが第9室です。とはいっても、過去世における精神性に関する功徳をみるのは第5室がいいのか、第9室がいいのかという点については、占星術家の間でも意見が分かれます。過半数の占星術家は、第5室に過去世からの精神性に関する功徳が現われるとしていますが、サマディを表す第8室の直後にくる第9室に今の生における精神性の功徳が現われると考えるのも、理にかなっているといえます。第9室は、ですから懺悔(ざんげ)や巡礼、神々への崇拝という観点から読み解くのがふさわしいでしょう。

また、第9室はグルあるいは精神的な導き手となるひとつ前の、精神的発達の最終段階を意味します。第9室には子供にとってグルの役割を果たす父親という意味もあります。(注意:モクシャ〔Moksha〕トライアングルの最初のハウスである第4室は母親を表します。母親への献身が、アディグル〔adi-gurus:最初のグル〕への献身と等価である意味はここにあります)

ダルマ・トライアングルの最後のハウスである第9室は、宗教的な成熟を果たすためには、父親への献身が重要であることを理解させてくれます。

ですから、サンスクリットの重要な格言「母親を女神と見、父親を神と見なさい」は、子供が確固たる信仰生活を築く上において、永遠に従うべき真実なのです。この格言から、両親に対して残酷な者は、信仰や修行において成功することはできないと言えるでしょう。これは、精神世界における厳しい現実です。これは、現代の多くの若者にとってはあまり心地よいものではないかも知れません。しかし、占星術家はこれを見過ごすことはできません。

第10室
職業(第6室も就職を見るのに使われます)や名声、名誉、尊敬、威厳、そして個人の達成は、第10室のテーマです。 第10室は注目に値する行いを表すハウスです。発するマントラに威力がともなうようになった人やグルとなった人、あるいは、なにかをして(その内容の善悪を問わず)社会的に有名になった人は、このハウスと関係があります。ですから、最も強力な吉星である木星がこのハウスに在住することがもっとも好まれます。というのも、第10室は、宗教的、精神的、儀式的な行為のハウスでもあるからです。

注意:グルの場合、第10室および第10室の支配星は、彼の「行為」の質を意味します。

第11室
あらゆる種類の利得、称号、名誉、兄、姉、ビジネスからの収益は、第11室で判断します。 精神性という観点からは、第11室は非常に不可解なハウスといえます。吉星が第11室に在住している場合、多くの神々を敬ったり、経典の研究や著述に対して敬意をはらったりする傾向があります。多くの惑星が第11室にあると、グルへの布施や多額のお金を暗示します。というのは、第11室は欲望を表すカーマ・トライアングルの最後のハウスでもあるからです。そしてこのような欲望は良い場合もあるし悪い場合もあります。このように、第11室は宗教の道を歩む人が最後に対峙しなければならない誘惑のハウスであり、最終地点すなわち解脱に至るためには乗り越えなければならないハウスでもあります。
第12室
損失や出費、無駄などは、伝統的な第12室のテーマです。最近では、外国旅行、外国移住、海外取引、収監、逮捕監禁などを見るときにも必要で、かつ避けられない12室のテーマとなっています。
このハウスは、修行者にとって、精神的な生活や解脱の観点から、もっとも重要なハウスです。
第12室および第12室の支配星そしてケートゥは、解脱の成否を決定します。第12室が傷ついているとき、たとえすばらしいホロスコープであったとしても、そこで約束されている精神性は台無しになります

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