シンガポールから来た信者は、次のような興味深い話を紹介してくれた。

その人は、友人がインドにいる聖者に会いに行くというので、仕方なく一緒について来たが、友人と共にインタビューに呼ばれることになった。

サイババは、聖者と聞いていたので、自分の前世について多分知っているだろうと思って尋ねたところ、
サイババは「知らない方が良い」と言った。

それでも、しつこく聞くと、サイババは

「明日、お前は前世での息子と嫁に会えるだろう。
 そして、前世でお前を毒殺した嫁の愛人にも会えるだろう。
 その者は、今世では、ラジャという名前で呼ばれている。」

と言われた。

インタビューにも呼んでもらった、あくる日にバンガロールへ行った。
シンガポールに帰るまでに少しお土産でも買おうと、オートリキシャーに乗って買い物に出かけた。
ところが、交通事故に巻き込まれて、リキシャーは横転した。

幸い大きなけがではなかったが、近所の婦人が家で傷口を洗い介抱してくれた。
見ると、部屋の隅に大きな男が、子供のように何かに耽って遊んでいた。
明らかに精神に異常をきたしているようだった。

婦人は、訝しげにその男を見ている自分に気がついて、

「そうなんです。子供の頃、毒をもられた杯の残りを飲み干してしまい、廃人になってしまったのです。」

と言った。

もう、これ以上聞かなくても十分だった。
自分の前世の息子と嫁だった。

事故のショックよりも前世の嫁と息子に会えた、しかも自分の息子がこんな、悲劇的な状態になっているのが分かり、それが辛くてとぼとぼと肩を落として裏道を歩いていた。

確かに、サイババの言う通り、自分の前世なんて聞かなかった方が良かったと後悔した。

すると、前の方から子供達の一団が泣きながら走って来た。

子供達は、飼い主はいないが自分達のペットだった犬が車にはねられて死んだと、犬の亡骸を抱えて走りながら、
口々に「ラジャ、ラジャ」と言って泣いていた。

 

―「My Baba & I」John Hislop著 より( p188~)

関連記事: