【運命と自由意志⑳】:カルマと神の恩寵
メルマガのコラムからの転載です。
皆様ご存知のように、インド占星術はカルマ思想を基にしています。
では、それはどれぐらい正確に返り、また例外はあるのでしょうか?
今日はカルマというものを、あるサイババの逸話から取り上げてみたいと思います。
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ある時期、プッタパルティに盲目の浮浪者がいた。
彼は時々バスに乗ってきては、客のために美しい声でバジャン(=讃美歌)を歌い、そうして澄んだ目から涙を流すのであった。
ある時、信者の一人が彼のことをサイババに話すと、サイババは、その男のことは良く知っていると答えた。
信者は言った。
「スワミ、彼はあのような美しいバジャンをいくつも歌い、
盲目の目から涙を流すのです。
どうか彼の眼を見えるようにしてやってください。」
しかし、それに対するサイババの答えは次のようだった。
「彼の美しいバジャンは、もちろんいつでも私の耳に入っている。
しかし、彼が過去世で目をつぶした人々の苦しみと嘆きの声は、
いまだに、もっと強く私の耳に響いているのだ・・・」
(中略)
しかし、この話はそれで終わりではなかった。
質問者は、カルマの法則は十分に理解していたが、
それでもこの男が不憫に思われてならなかった。
そして、サイババのもとを辞した後、この男を訪れた。
彼は相変わらず、涙を流しながらバジャンを歌っていた。
しかし、それは喜びの涙だった。
突然、目が見えるようになっていたのである。
- 『理性のゆらぎ』: 青山圭秀 著
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この話は、カルマというものの恐ろしさと同時に、それをも凌駕する「恩寵」というものが存在することを示しています。
カルマの法則というものが正確にその人の元へ返るのならば、それはある意味、奇跡でしょう。
しかし、神の恩寵はそれもしのぐ奇跡といえるのかもしれません。
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このお話20数年前に本読んで以来「盲目のバジャンシンガーと名付けて」事あるごとに励みにしていました。自分自身人生振り返れば恩寵無くしては今日という日々は迎えられなかったと思います。「道に迷う幼子」でしたね。
カルマの法則。それをも凌ぐ神の恩寵それがある。生きていこうと思えましたね。ありがとう!
もんちゃんばあば様
こんばんはm(__)m
先日は、アボガドありがとうございましたm(__)m
ちょうどいい色になりましたので、明日食べる予定です(^^
この話、良いですよね~!私も大好きな話です!^^
この話を読むたびに、カルマに対しても、神の恩寵に対しても、畏敬の念を禁じ得ませんね。
「あるヨギの自叙伝」にも、ババジ大師が弟子のカルマを解消したような話がいくつかあります。
以下に、ちょっと紹介します。
——
「ある晩、ヴェーダの儀式が行われた時、弟子たちが大きなかがり火を囲んで座っていた。すると大師は、とつぜん一本のあかあかと燃えたたきぎを取り上げて、傍らに座っていた一人の弟子の裸の肩を軽く触れた。
『師よ、何という事を!』 とラヒリ・マハサヤが抗議するように言った。
『お前は、この男が過去のカルマの定めによって、お前の目の前で焼け死ぬのを見る方がいいのか』
ババジはこう言われると、その弟子の焼けただれた肩に、癒しの手を置かれた。
『私は今夜、お前を無残な死の運命から救ってやったのだ。
このわずかなやけどを負ったことによって、お前のカルマは果たされたのだ。』
——–
またある時、ババジを囲む聖者たちの一団に、闖入者が現れた。
彼は、大師のキャンプに近い崖の上の岩棚に、見事な巧みさでよじ登ってきた。
『大師よ、あなたは偉大なババジに違いありません。
私は、この幾月もあなたを捜し求めて、この険しい岩山をあちこちさまよい歩きました。
お願いでございます。私をお弟子に加えてくださいませ。』
ババジは何の返事もなさらなかった。
すると男ははるか下の岩の裂け目を指さして言った。
『もし受け入れていただけなければ、私はここから飛び降りて死んでしまいます。
大師の御指導を受けることができないなら、私はもう、生きていても無意味でございます』
『では飛び降りるがよい。』 ババジは冷淡にお答えになった。
『私はお前を、今のままでは弟子にすることはできない』
男は崖下めがけて身を投げた。
ババジは、呆然とこのありさまを見ていた弟子たちに、男の死体を取ってくるようにお命じになった。
見るも無残な男の死体が運ばれてくると、大師はその上に手をお置きになった。
するとどうだろう!男はぱっと目を開いて、全能の大師の足元にひれ伏したのだ。
『これでお前は、わたしの弟子になる資格ができた。』
ババジは、死からよみがえった弟子をにこやかに見ながら仰った。
『お前は、勇敢にも、この厳しい試練に打ち勝った。
死は、もう二度とお前を見舞うことはないだろう。
今こそお前は、われわれ不滅の仲間の一員になったのだ』