【1.ヨーギニー・ダシャー:応用編

さて、今日はヨーギニ・ダシャーの応用編です。

これは、プログレス法(プログレッション)とも呼ばれます。

プログレスとは「進む・進行・前進」を意味しまして、この場合、時期(ダシャー)により、ラグナを移動させて見る方法のことを指します。

ジャイミニのチャラ・ダシャーでも、星座期が変わるたびに、そのラグナも星座期に合わせて1個づつずらして行って見ましたが、ある意味プログレッションと言えるでしょう。

 

〔プログレスの方法〕

さて、このヨーギニー・ダシャーのプログレスはどうするのかと言いますと・・・

各ダシャーに対応するナクシャトラを利用します。

前回の表を以下に示します。

ヨーギニ― 支配星 期間(年) ナクシャトラ
1.マンガラ(Mangala) 1 6.アールドラ

14.チトラー

22.シュラヴァナ

2.ピンガラ

(Pingala)

太陽 2 7.プナルヴァス

15.スヴァティ

23.ダニシュター

3.ダーニャ

(Dhanya)

木星 3 8.プシュヤ

16.ヴィシャーカ

24.シャタビシャー

4.ブラマリ

(Bhramari)

火星 4 1.アシュヴィニー

9.アーシュレーシャ

17.アヌラーダ

25.P.バードラパダ

5.バドリカ

(Bhadrika)

水銀 5 2.バラニー

10.マガー

18.ジェースタ

26.U.バードラパダ

6.ウルカ

(Ulka)

土星 6 3.クリティッカー

11.P.パラグニー

19.ムーラ

27.レーヴァティ

7.シッダ

(Siddha)

金星 7 4.ローヒニ

12.U.パラグニー

20.P.アシャーダ

8.サンカタ

(Sankata)

ラーフ 8 5.ムリガシラ

13.ハスタ

21.U.アシャーダ

  合計 36  

前回の復習ですが・・・

ジャンマ・ナクシャトラから、最初のダシャー期が決まりましたね。

ダシャーはそこから、順番に下のヨーギニーの時期に移動していきます。

この時、ダシャーの移り変わりとともに、その対応するナクシャトラのある星座をラグナとして見てやろうというのがプログレス法の趣旨になります。

このラグナをプログレス・ラグナ(PL)と言います。また、PLから見たチャートを、プログレスチャートと言います。

ここで、ダシャー期に対応するナクシャトラは3つまたは4つありますが、ナクシャトラの順番に従い、移動させていきます。
例えば、ジャンマナクシャトラがプシュヤだった人は、最初のダシャーはダーニャです。次のダシャーはブラマリですが、対応するナクシャトラはプシュヤの次のアーシュレーシャとなります。(←アシュヴィニーやアヌラーダに飛ぶことはしません)
ですので、アーシュレーシャのある蟹座をプログレスラグナとしてチャートを分析することになります。

以下、順番にナクシャトラを対応させて行きます。

ジャンマナクシャトラがプシュヤだった人が36年後に最初のサイクルが終わると、またダーニャから始まりますが、ナクシャトラはヴィシャーカになり、ヴィシャーカのある星座をプログレス・ラグナとして解析します。

言葉だと分かりにくいと思うので、後に出てくる表を確認してください。

 

〔表記の仕方〕

ナクシャトラが関係するので、このプログレス法では、ダシャーの期間はナクシャトラと一緒に記載されなければいけません。でないと、プログレスラグナ(PL)が分からなくなります。たとえば、アヌラーダ生まれの人は、出生時のダシャーはブラマリ・ダシャーですが、その場合、ブラマリ/アヌラーダと記入します。アーシュレーシャの場合は、ブラマリ/アーシュレーシャとします。

残念ながら、ジャガンナータはプログレス法に対応してないので、ナクシャトラは、自分で記入する必要があります。

 

〔星座をまたぐナクシャトラの場合〕

ここで、ちょっと問題が起きます。

ナクシャトラのある星座をラグナをしてみるとのことですが、星座をまたいでいるナクシャトラはどうすしたらいいのでしょう?どっちで見ればよいのでしょう?

これは、そのナクシャトラが各星座に存在している比率によって、ラグナをダシャーの途中で変えることになります。

例えば、チトラーの4パダのうち、前半2つが乙女座、後半2つが天秤座にありますので、マンガラ期(1年)の最初の半年は乙女座がプログレスラグナ(PL)になり、後半の半年は天秤座がプログレスラグナになります。

他の例をあげると、プナルヴァスでは4パダのうち、前半3パダ分が双子座、1パダ分が蟹座にありますので、ピンガラー期(2年)のうち、最初の18か月は双子座がPLとなり、後半6か月は蟹座がPLとなります。

 

〔ダシャーの数とナクシャトラの数の問題〕

ラグナをナクシャトラに合わせて移動すると言いましたが・・・

ダシャーが8つで、ナクシャトラが27個なので、一つのダシャー期に対応するナクシャトラは3つのものと4つのものができています・・・
ブラマリ、バドリカ、ウルカは4つの対応するナクシャトラがあります。

要は、27を8で割ると3あまり3となり、ダシャーが3周するとナクシャトラが3つ余るわけです。

どちらかの倍数になっていればよかったですが、8と27なんで、うまく割り切れません。

すると、普通にダシャーにそってナクシャトラを移動すると、27.レーヴァティの次は、本当なら1.アシュヴィニーになりたいですが、実際は4.ローヒニに飛んでしまいます(←表を参照)。仮にナクシャトラを優先して、無理矢理1.アシュヴィニーにするとなると、今度はダシャーが6.ウルカから、4.ブラマリに戻ってしまいます。

これを解決するため、VPゴエルさんは最初の三つと終わりの三つを重ねちゃおう!という事をしました(※かなり強引な感じですが・・・)

対応するダシャーとナクシャトラを図にしめすと、次のようになります。

自分のジャンマ・ナクシャトラから始まり、下に移動していきます。

ヨーギニー ナクシャトラ
名前 主星 名前 主星
1.マンガラ Mo アールドラー Ra
2.ピンガラ Su プラルヴァス Ju
3.ダーニャ Ju プシュヤ Sa
4.ブラマリ Ma アーシュレーシャ Me
5.バドリカ Me マガー Ke
6.ウルカ Sa P.パラグニー Ve
7.シッダ Ve U.パラグニー Su
8.サンカタ Ra ハスタ Mo
1.マンガラ Mo チトラー Ma
2.ピンガラ Su スヴァティ Ra
3.ダーニャ Ju ヴィシャーカ Ju
4.ブラマリ Ma アヌラーダ Sa
5.バドリカ Me ジェースタ Me
6.ウルカ Sa ムーラ Ke
7.シッダ Ve P.アシャーダ Ve
8.サンカタ Ra U.アシャーダ Su
1.マンガラ Mo シュラヴァナ Mo
2.ピンガラ Su ダニシュター Ma
3.ダーニャ Ju シャタビシャ Ra
4.ブラマリ Ma P.バードラパダ/

アシュヴィニー

Ju
5.バドリカ Me U.バードラパダ/

バラニー

Sa
6.ウルカ Sa レーヴァティ/

クリティッカー

Me
7.シッダ Ve ローヒニ Mo
8.サンカタ Ra ムリガシラ Ma

 

円形(チャクラ)で表示する場合もあります。(※ヨーギニー・ダシャー・チャクラと言います。)

チャクラの図では、内側がダシャーとダシャー支配星、外側がナクシャトラとナクシャトラの支配星を示しています。

ジャンマ・ナクシャトラから自動的にダシャーが決まり、そこから時計回りに順番に進行します(※表では下に行きます)。

シュヴィニー、バラニー、クリティッカーは、P.バードラパダ、U.バードラパダ、レヴァティに重ねられています。

この2つのナクシャトラがひとつのヨーギニーに関係する場合、ひとつのナクシャトラと見なします。

この時期は2つのナクシャトラの支配星があることになります。これらの時期は慎重に検討してください。(※また、ジャンマナクシャトラが、アシュヴィニー、バラニー、クリティッカー以外の場合は、この3つのナクシャトラをない物として鑑定する方法もあります(←むしろ主流)。すなわち、ダーニャ/シャタビシャーの次は、ブラマリ/P.バードラパダ → バドリカ/U.バードラパダ → ウルカ/レーヴァティ → シッダ/ローヒニと続きます。

また逆に、例えば、ジャンマ・ナクシャトラがアシュヴィニーだった場合は、ブラマリ/アシュヴィニー → バドリカ/バラニー → ウルカ/クリティッカー → シッダ/ローヒニと続きます。最後はブラマリ/P.バードラパダ → バドリカ/U.バードラパダ → ウルカ/レーヴァティとなります。)

このプログレス法の1サイクルは36年×3周期の108年となります。(※ジャンマ・ナクシャトラがアシュヴィニー(ブラマリ)から始まり、レーヴァティ(ウルカ)で終わる人は、ナクシャトラ全部となり1サイクルは123年となります。)

ヨーギニダシャーでは、全く同じダシャーが回って来ることが問題でしたが、これなら同じダシャーが回って来ることはほぼないでしょう。

 

〔プログレス・ラグナについてまとめ〕

①:プログレス・ラグナは、 ナクシャトラが在住する星座となります。

②:プログレス・チャートにおいての鑑定は、ラグナだけをナクシャトラの存在する星座に移動させ、他のすべての惑星の位置はラーシのままです。

③:ヨーギニー・ダシャーに対応するナクシャトラが星座をまたぐ場合、プログレス・ラグナはダシャーの期間内に変化します。プログレス・ラグナが変化する時期は、各星座におけるナクシャトラの存在している比率に比例 します。

④:サンカター(Ra)・ダシャーでは、ケートゥについて も検討 します。 ナクシャトラの支配星がラーフかケートゥの場合、それらは、ディスポジターやコンジャンクトする惑星のように振る舞います。

 

〔他の流派・方法〕

上記のナクシャトラを重ねる方法ですが・・・

これはいろいろなバージョンがあり、3つのアシュヴィニー、バラニー、クリティッカーに対応するダシャー期を、ケートゥが支配する3つのナクシャトラに重ねる方法もあります。

その場合、アシュヴィニー/P.バードラパダ、バラニー/マガー、クリティッカー/ムーラとなります。

どっちがいいかは、検証してみないと分かりません(^^;

ただ、ジャンマ・ナクシャトラが、上記3つになった人以外は、それほど鑑定に影響しないですが・・・

 

〔鑑定の仕方〕

さて、鑑定の仕方ですが、ラグナをナクシャトラのある星座にプログレスさせて、鑑定すると言いましたが、最も大きなポイントになるのはナクシャトラの支配星で、次にダシャー・ロード(=ヨーギニーの支配星)です。

以下の点に着目します。

①:ラーシ・チャートにおける ナクシャトラの支配星を見る(←PACを見る)。

②:プログレス・チャートにおけるナクシャトラの支配星を見る (←PACを見る)。また、対応するナクシャトラのある星座をラグナとして検討する。 

③:プログレス・チャートにおけるナクシャトラの支配星とダシャーの支配星の関係を見る。(←お互いに何室目かを見る)。ナクシャトラ支配星とダシャーの支配星は、イベントの内容如何を見る上で重要な役割を果たす。

④:プログレス・ラグナ(PL)から数えて、出生図のラグナ(BL)が何室目かを見る。

 

〔結果について〕

・いずれのダシャー においても、ナクシャトラの支配星のサブ・ダシャーのときに、結果がもたらされることが多いとのこと。

・ダシャー・ロードとナクシャトラの支配星の両方に影響される惑星は、そのサブ・ダシャー において結果をもたらします。

・ダシャー・ロードとナクシャトラの支配 星の両方に影響を及ぼす惑星 は、そのダシャーの結果に最も影響します。

・ダシャーの支配星とナクシャトラの支配星が共通する以下の4つのダシャー期、
 「ダーニャ/ヴィシャーカ」、「バドリカ/ジェースタ」、「シッダ/P.アシャーダ」、「マンガラ/シュラヴァナ」
 は、惑星の配置がよければ、特別に幸運な時期といえます。単一支配星の時期と呼ぶことにします。

 

次回は鑑定例をやります。

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