前回の木星のトランジットで、ムールティニルナーヤとは何かと言う質問が来たので、解説しておきます。

メルマガからの転載です。


今日はトランジットの続きで、ムールティ・ニルナーヤというトランジット技法です。
春日氏の「ヴェーダ星学教本」にわずかに取り上げられていますが、他の日本語図書には解説はおそらくないです(←私の持っている本では)。

日本ではあまり聞かない技法ですが、インド占星術では一般のトランジット技法として取り扱われており、それほどマイナーということもないようです。
では、今日はこのムールティ・ニルナーヤの解説を以下にしていきます。

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【1.技法:ムールティ・ニルナーヤ】

すべての惑星は、ある星座からある星座へとトランジットする時に、4つの形態(金の形態、銀の形態、銅の形態、鉄の形態)のどれかを取ることになります。これらの形態は、ある特定の吉凶をもたらします。
このムールティニルナーヤを知るためには、惑星がトランジットする正確な時間を知る必要があります。

まず、出生図の月の位置に対し、トランジットしている月の位置を確認します。
月以外のある惑星が、ある星座からある星座にトランジットをする時、トランジット月が、出生図の月の位置に対して何室目にいるかに基づいて、それによって惑星の形態と、そのトランジットによる吉凶を推測することができます。

まぁ、簡単に言ってしまえば・・・月以外のある星が星座間を移動しましたと・・・その時、ネータルの月とトランジットの月は何室離れてましたか?』ちゅうことです。その時のネータルの月から、トランジットの月の位置関係によって、吉凶が決まるというわけです。

以下に表に示します。

月の位置関係 惑星の形態 トランジット結果
1、6、11室目 金の形態 極めて良好
2、5、9室目 銀の形態 良好
3、7、10室目 銅の形態 不利
4、8、12室目 鉄の形態 極めて不利

気をつけなければいけないのは、位置関係は、出生図(ネータル)の月から数えて、トランジットの月は何室目かということです。例えば、6-8の関係は逆から数えてしてしまうと、吉凶がまったく逆になるから気をつけてください。
分かりにくいと思いますので、以下に例で示します。

 

〔ムールティ・ニルナーヤの例〕

 【出生図】


​【トランジットチャート】


上のグラフは、その人の出生図であり、下のグラフは、2014年12月12日のトランジットチャートです。ちょうどこの日に、水星は蠍座から射手座へトランジットしました。
出生図の月は獅子座にあります。
また、2014年12月12日のトランジット図において、月が在住しているのも獅子座です。
従って、水星のトランジットの際に、トランジットの月が出生図の月に対して、『1室目』であることを意味します。上の表を参照して、水星のトランジットは、「金の形態」であり、非常に良好な結果が期待できることになります。

仮に、トランジットする月が天秤座にあったとしたら、出生の月に対して、『3室目』に位置していたことになります。
この場合、水星のトランジットの形態は、「銅の形態」ということになり、その結果、一般的に不利な結果をもたらすことになります。

この惑星の形態は、一度決まってしまうと、次に星座にトランジットするまで、その形態を保ちます。
土星とか遅い惑星は影響が長引くので、変な形態を取ると嫌ですね(^^;

また、ムールティ・ニルナーヤも吉凶判断の一因子に過ぎず、トランジットの予測はすべての占星術の原則を適用した後に決定するべきであることに注意してください。
個人的には、「金ならやや吉の効果が高まる」、または「鉄ならやや凶意が増す」ぐらいに思って使ってます。

これが正しいかどうかはわかりませんが・・・

 

〔補足:ジャガナータにおけるムールティ・ニルナーヤの確認方法〕

上記でムールティ・ニルナーヤを学びましたが、トランジット図を見ていても、その星がトランジットした瞬間の月の位置なんて、いちいち確認していられないですよね!
そこで、すぐにその惑星の形態を知る方法はないかという事ですが・・・

ジャガンナータでは、トランジットの詳細を示す表に、「Murthi」とありますが、そこに惑星の形態が示されます(下記図参照)。

golden=金、silver=銀、copper=銅、iron=鉄 です。(その横の頭についているのは、金、銀、銅、鉄を表すサンスクリットです)。

​これで、いちいちトランジットのたびに確認する必要はないですね!^^

また、いろいろと惑星をトランジットさせて、法則にしたがって惑星の形態が変わるのを確認してみてください。(※ムールティニルナーヤはネータルとトランジットの月の相対位置なので、人によって異なりますので、ご注意ください。)

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