さて、今日はギー(Ghee)です。

ギーはバターオイルの一種で、バターに含まれる18%水分と2%の蛋白質を取り除いた純粋な乳脂肪のことです。
日本ではあまり馴染みがないですが、インドでは食の優等生として重宝されています。
アーユルヴェーダにおいて、新鮮な牛の乳から得られたギーはオージャスを作り出す純粋な食べ物であり、油脂類の中で最もすぐれたものとして考えられています。

 

『医学書・チャラカ・サンヒターにおけるギーの効能についての説明』

  • ギーは、消化の炎であるアグニを活性化させ、知力、理解力、精力、オージャス(活力源)を高める効果があり、またよい消化促進剤となる。(ピッタを増加させずにアグニを強めるので、ピッタ体質の人にとてもよい)
  • またヴァータ・ピッタ・カファを鎮静化させ、各ドーシャのバランスを取ることができる
  • 解毒作用や解熱、疲労回復、滋養強壮にも作用し、ギーはその用い方により無数の効果をあげることができる
  • ギーの味(ラサ)は甘味、潜在力(ヴィパーカ)は冷性、消化後の味(ヴィールヤ)は無数である

 

『アーユルヴェーダーにおけるギーの使い方』

  • アーユルヴェーダでは、アーマ(体の未消化物)を排出させるために、ギーと白湯を摂ることを勧めています。(水に溶ける老廃物と油に溶ける老廃物の両方を排出できる)
  • ネートラ・タルパナといって、ドライアイなどの処方に湯煎したギーに目を浸したりします。(30秒~1分)
  • 一般的に目、鼻、皮膚によく、傷口の治癒を促し、消化性潰瘍や、大腸炎にも効果を持ちます。
  • 骨髄と神経組織の食物であり、脳に栄養を与える。(精神、脳、神経系のための若返りのための強壮剤(ラサーヤナ)となる)
  • 食事時に、料理の上に小さじ一杯たらし、消化促進剤として使います。
  • 便秘を改善するために、夜、温めたミルクに溶かして飲みます。(特にヴァータ性の便秘の人にお勧め)
  • 顔のマッサージに使用し、しわを除去します。

 

『宗教的儀式における使用』IMG_3827-puja-CU

また食用以外に、ヴェーダの儀式において用いられます。具体的には、ギーランプ(灯明)や神像の沐浴などに用いられます。また、ギーは燃やすと完全燃焼し、煤が出ないのが特徴で、ランプに適しています。

 

『家庭におけるギーの使い方』

普通に調理用の油として使えます。例えば、ギーで野菜などを炒めるなど。ただし、天ぷらには適しません。
また、パンやケーキなどを焼くときには、通常のバターがよいです。

また、日本古代の文献には「蘇」や「醍醐」という乳製品が出てきますが、「牛乳を煮詰めて半固形化した」蘇がバターとすると、醍醐は「蘇の精液」とあるので、バターを精製したギーであると考えられます。よく最も素晴らしいことを「醍醐味」と言いますが、まさにギーの味は最上の物というところなのでしょう。

 

『ギーの作り方』

さて、こんな素晴らしいギーですが、日本では売ってないよ~とお嘆きの皆さん!ギーは、簡単に作ることができます。

去年の11月に偶然、作り方を習いました。以下にギーの簡単な作り方を紹介します。

【材料】

  • 無縁バター200~500g程度(多いと時間がかかります)
  • なべ
  • コンロ
  • ガーゼ、またはコーヒーフィルター、またはキッチンペーパー、または茶漉しなど

 

 【作り方】

  1. 無塩バター何個かに割ってなべに入れ、中火にかけ溶かします。
  2. 溶けたら弱火にし、水分を蒸発させていく。
  3. 火にかけている間は、絶対にかき混ぜてはいけない。
  4. 泡が立ち始め、パチパチと音がするようになる。
  5. 白い細かい泡が出てくる。たくさん溜まってきたら、お玉であく(泡?)を取り除く
  6. 音が静まってきて、シュワーという音に変わったら火を止めます。
  7. 不純物を除くために、熱いうちにガーゼ、コーヒーフィルター、キッチンペーパー、茶こしなどで漉してできあがり
  8. できあがったギーは黄金色してます

常温でも冷蔵庫でも保存がききます。直射日光は避けて保存。

他のサイトえお見ると、賞味期限6ヶ月などと書かれていますが、水分や蛋白質を飛ばすので、保存効果はバターより高まります。(インドや南アジアでギーが使われるのは、この保存が効くようになるというのが大きいです)

また、インドでは古くなるほど薬理効果が高くなるとされています。

 

下記に作り方の動画を張っておきます。

 

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