【1.子供の数について

引き続き、子供についてです。

・『Jyotish-and Progeny』’ by Sri Jagannatha Center
・『Progeny Notes』 by Venkat Ramana,
・『インド占星術の秘宝(下)』

を参考にしています。

 

〔子供の数の導出方法〕

いろいろな方法がありますので、いくつか紹介します。

どれが正確で信頼できるのか検証していません。自分の依頼者や有名人を使って、チェックをしてみてください。


【その①:ラーシとナヴァムシャの5Lから導出する方法】

子供の数はナヴァムシャの5室支配星から得られます。

最大子供の数=ラーシの5L-ナヴァムシャの5L

例えば、5室支配星がラーシで乙女座にあり、ナヴァムシャで双子座であったら、
ナヴァムシャの双子座-ラーシの乙女座=3となり
最大で3人までの子供が予想されます。

しかしながら、この導出は荒い方法(crude method)であるとのことです。最大数って言うのも、結局使えないですね。
また、現代では最大12人と言うのは、ありえない数字ですね。^^;

ラス氏は、この方法は5室支配星が木星と同居していないと使えないと述べています。
しかし、COVAという本では、これは必ずしも必要な条件ではないと説明しています。
この方法が有効に働くのは、木星が強く、子供について影響している時であると結論付けられています。

 

【その②:アシュタカヴァルガを使う方法】

『Progeny Notes』 には以下のように書かれています。
アシュタカヴァルガを使った方法です。

まず、木星から5室目と9室目の木星のBAVを調べて足します。

この点数から、以下の惑星による点数は除外します。

  • 木星の敵の惑星(水星・金星)
  • 5室支配星の敵の惑星
  • 減衰している惑星
  • 敵対星座に入っている惑星
  • 木星の減衰星座と5室支配星の減衰星座を所有する惑星

ちなみに木星のビンナ・アシュタカヴァルガの導出は以下の表のようになります。
例えば、太陽があったら、そこから1、2、3、4、7、8、9、10、11室目に各1点が入るということです。各惑星についても同様に点数を振り、総合させたものがBVA(ビンナ・アシュタカヴァルガ)です。

要は、下の表から、水星、金星、土星、減衰惑星、5Lの敵対惑星の分を引いて導出し、5室と9室の点数の和が子供の数ということですね。

 

【その③:第5室にある惑星、第5室の支配星と同居している惑星から導出する方法

以下は、インド占星術の秘宝に載っていた技法です。
よく分からない部分が多いです。参考までに載せておきます。

子供の数は、第5室にある惑星、第5室の支配星と同居している惑星から判断します。
これは、ナヴァムシャにおける惑星の状況を見ると同時に、木星から数えた5番目の室と、ナヴァムシャにおける太陽の星座もそれぞれ見ていきます。

子供の数は、ナヴァムシャの第5室の影響も受けます。さらにその数は、吉星しかないナヴァムシャの星座が示す数とも一致するでしょう。(※吉星しかないナヴァムシャの星座が示す数ってなんでしょう?)
吉星からのアスペクトがあると、子供の数はその2倍になります。逆に、凶星からのアスペクトがあると、子供の数は減少します。

 


【その④:第5室をすでに通過した部分のナヴァムシャから導出する方法】

これも、インド占星術の秘宝に載っていた技法です。
よく分からない部分が多いです。参考までに載せておきます。

第5室をすでに通過した部分のナヴァムシャを、分に直し、この数(単位はルーパ)に、第5室にかかる吉星からのアスペクトをかけます。出た数を60で割ります。その数が、その入が将来もつ子供の人数を表しています。(※通過の意味が分かりません。また、分に直すって60掛けること?)

もうひとつの方法は、分に修正した第5室から、度数に直した星座をマイナスします。その数に、吉星からのアスペクトを表す数(単位はヴィルパ)をかけます。その数を60で割り、さらに200で割ります。ここで出た最終的な数が、子供の数を表しています。
また、第5室にかかる凶星からのアスペクトは、将来子供が亡くなることを暗示しています。

 

【その⑤:惑星の経度とナヴァムシャの星座番号を利用する方法】

これも、インド占星術の秘宝に載っていた技法です。3つあります。
こちらは比較的わかりやすいです。ただ、これも最大12人・・・^^;

・木星・月・太陽のそれぞれの経度を合計する。その合計した経度が示すナヴァムシャの星座番号の数は、子供の数を表している。

・第4室・第5室・第9室のそれぞれの支配星の経度を合計する。その合計した経度が示すナヴァムシャの星座番号の数は、.子供の数を表している。

・第4室・第・5室・第9室に惑星が現れていれば、その惑星の経度を合計する、その合計した経度が示すナヴァームシャの星座番号の数は、子供の数を表している。

 

以上です。

どれが有用かは、自分で検証してみてくださいm(__)m

 


【追記】

shiiさんより、以下の指摘・コメントがありました。
許可をもらいましたので、追記いたします。
shiiさん、ありがとうございましたm(_ _)m

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その③の前半:
・「ナヴァムシャにおける惑星の状況を見ると同時に、」
原文:taking care to eliminate those that are posited in the Amsas of their enemies and depression.

敵対惑星や減衰星座のナヴァーンシャにある惑星は不合格だからカウントしない。
(それにしても翻訳が雑! 笑)
通常はさらに、コンバストの惑星なんかも却下するかと。

・「ナヴァムシャにおける太陽の星座」
これは太陽のナヴァーンシャラーシからカウントして5室に着目するという意味です。
もちろん、ラーシチャートでジャッジします。

その③の後半:
原文:The number of children may be equal to the Navamsas that have been covered by the 5th Bhava. The number will correspond to the Amsas owned only by benefics. (後略)

5室の通過したナヴァーンシャのうち、吉星が支配するもののみを数え上げます。

例えば、ISOPさんのチャートだと確かラグナは蟹座の29度あたりだったと思うので、5室のカスプは蠍座の29度。
よって、通過したナヴァーンシャは8つ。
蠍座の
1つ目のナヴァーンシャ(Nav)→月
2つ目のNav→太陽
・・・
8つ目のNav→土星

といった感じで吉星支配のナヴァーンシャがいくつあるか数えましょう。

問題は月と水星の取扱いですね。
チャートごとに吉凶を判断するのか、それとも・・。
ISOPさんのチャートではいずれにしても月は吉星です。

その④:
通過した部分の話は上記と同様。
8つの場合は、
8 x 200 = 1600
アスペクトからの影響を考慮してこれに補正を加えます。

1ルーパ = 60ヴィルーパ

伝統的な部分アスペクトを採用すると、例えば、水瓶座8室の木星は5室蠍座に15ヴィルーパのアスペクト、という具合です。
参考:https://www.astro9.com/aspect1.htm

あるいは、パラーシャラの流派が導入した度数毎のアスペクトを使いたい場合はパラーシャラの第26章をご参照ください。

例えば、ISOPさんの木星は確か水瓶座の8つ目のナヴァーンシャだったので25度くらい?
木星は蠍座25度に15ヴィルーパのアスペクト、射手座25度に0のアスペクト。
その間を直線近似することにより、木星の5室(蠍座29度)へのアスペクトは13ヴィルーパくらいかと。

こんな感じで各惑星からのアスペクト値を計算しましょう。

どちらのアスペクトを採用すべきかは原典の文脈によります。

その⑤:
the number of past Navamsas
と書かれているので、the numberは星座番号ではなくて
これも通過したナヴァーンシャの個数ですね。

ところで、上記の技法の元ネタはプラシュナマールガの下巻とかでしょうか?
そこには他にもいくつかの方法が書かれていますが、各技法によって得られた結果に基づいて最終的にどのように判断するかが一番の難題です。
それができないと全く役に立ちませんね。

なお、詳しくは見ませんが、前後の記事(その1とその3)で紹介して下さった内容も特にナヴァーンシャに関する内容はいずれも誤りかと思います。
Ramakrishna Bhat氏のテキストは古典のコンピレーションなので、
ナヴァーンシャの5室やナヴァーンシャの5室支配星というのは(伝統的なジョーティシャにおいては)概念的にあり得ないかと。
翻訳者においてaṃśa(ナヴァーンシャなど)という用語の定義に誤解があるように思います。

翻訳本の全体を通じてヴァルガに関係する内容は特に注意が必要かもしれませんね。
とはいえ、この本格的なテキストを20年以上も前に翻訳された翻訳者の心意気を個人的には買いたいです。

 

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