【1.タジカ・システムについて】

前回、対象となるハウスの象意をやりましたが、
対象となるハウスが決まったら、その支配星とラグナロードの強さと位置関係を見ます。
それによって、成否を占います。

そこで重要になって来るのが、タジカ(Tajaka)・システムと言われるものです。(タジクともいう)
これは古代のギリシア人によって伝えられたと言われます。
よく使われるものに、タジカ・アスペクトと、タジカ・ヨガがあります。
これにより、プラシュナの精度は非常に良くなると言われています。
この2つを解説していきます。

一般のジャータカ(ネイタル)の占いとは、少し趣が違うので注意ください。

 

〔1-1.タジカ・アスペクト〕

当事者自身(ラグナロード)と、問題となるハウスの惑星(=ディスポジター)の位置関係が、3、5、9および11室目に互いににあるとき、それらは友好的な位置にあります。その場合、成功を収めるために適した位置となります。
たとえば、惑星は牡牛座にあるとします、そして、もう一つの星は乙女座にあります。牡牛座から、乙女座は、第5室目です。そのため、質問の答えは、ポジティブになります。それは、イベントが円滑にで、そして、より少ない努力で起こることを意味します。

2つの惑星が1、4、7、および10室目に互いにあるとき、それから、彼らはあまり良い位置関係ありません。このケースでは、多くの障害か、何度かのチャレンジの後に、イベントが起こる可能性があります。

2つの惑星が2、6、8および12室目にあるとき、アスペクトはそれらの惑星の間で作られません。

『タジカ・アスペクトを組む』と言ったときは、ニュートラル以外の関係を指します。

(※上記の6-8、2-12の位置関係(ニュートラル)を否定的に書いてあるものと、単に考慮に入れないとする解説があります。このメルマガでは後者を取ります。)

まとめると、各関係は以下のように解説されています。

  • 公の友好関係:5-9
  • 隠れた友好関係:3-11
  • 公の不和の関係:1-1、7-7
  • 隠れた不和の関係:4-10
  • 中立(アスペクトを組まない):2-12、6-8

まぁ、吉凶は西洋占星術のアスペクト(トライン、セクスタイル、オポジッション、コンジャクション、スクエア)の感覚と似ているかもしれません。

 

〔1-2.タジカ・ヨガ〕

タジカ・ヨガは16種類あります(細かい派生を入れると25種類ぐらい)
中でも、最も重要とされるのがイタサーラ・ヨガとイシュラーフ・ヨガです。
今日はまず、重要なこの2つを説明します。(他の物はまた次回やります)

 

〔イタサーラ・ヨガ(Ithasala yoga)〕

イタサーラは非常に重要なヨガです。
このヨガは質問に対し肯定的・好ましい結果を与えます。
また、この2惑星の距離(角度)は未来のイベントのタイミングを示します。

イタサーラを形成するには3つの条件があります。

①より速いの惑星がより遅い惑星の後ろにあること。(時間がたてば、速い惑星が遅い惑星に追いつく状態
②タジカ・アスペクトを互いに形成していること(3-11、5-9が望ましい。1-1、4-10、7-7の場合は困難や障害、遅延あり)
③互いの星がディープタムシャ(deeptamsha)の平均値以下の範囲に入っていること。

他のサイトを見ると①の解説が多いですが、基本的には②と③も満たしていないと、イタサーラにはなりません。

①について、惑星の速度は以下のようになります。

月 > 水星 > 金星 > 太陽 > 火星 > 木星 > 土星

また、ラーフとケートゥは古典では考慮に入れていませんが、もし考慮する場合は木星と土星の間になります。

 

さて、①に速いの惑星がより遅い惑星の後ろにあることとありますが、『後ろ』とか『前』というのは、何を指して言うのでしょうか?・・・これについて、あまり説明している本やサイトがありませんでした。

『前』は惑星の進行方向だから、『前』は経度の増える方向に180°の範囲、『後ろ』は経度の小さくなる方向に180°の範囲などと思っていました。

「時間が経って追いつけばいいのだから、速い惑星が遅い惑星の後ろ180°以内にあればいいのだろう」などと思っていたら、テキストの鑑定例で当てはまらないのが何度か出てきて、どういうことなのか分かりませんでしたが、私の解釈の誤りでした。

『後ろ・前』は、『惑星が在住する各星座内での経度』を指します。(←牡羊座の起点を0°とする絶対的な経度ではなく、各星座の起点を0°とした経度です)

単純にこの経度を比較して、小さい方が『後ろ』、大きい方が『前』となります。

解説にある『追いつく』というのは、時間が経てば、この星座内での経度が等しくなるという意味です。(※また時間が経てば、完璧な角度のタジカヨガを組むとも表現できます)

例えば、月が乙女座の3°に在住で、太陽が牡牛座の10°に在住だとします。
この場合、星座の前後は関係なく、単純に角度を比較して、月が後ろで、太陽が前です。(※チャートで見ると、月が前のように見えますが^^;)
時間が経てば、月は太陽と同じ経度になるので、追いつくことになります。(=完璧な5-9のイタサーラを形成)

参考になった本は下記の117ページあたりです。
https://books.google.co.jp/books?id=J3AvLZTArgIC&printsec=frontcover&hl=ja#v=onepage&q&f=false

 

さて、イタサーラ・ヨガは一般に肯定的で、好ましい結果をもたらしますが、そうでない場合があります。
ラグナロードと8室支配星が互いにイタサーラを組んでいるとトラブル、障害、死の原因となります。
逆に、ラグナロードが10室支配星とイタサーラを組んでいると、肯定的・良い結果・キャリアアップ・昇進などを示します。

また、上記の③にディープタムシャという意味不明なものがありますので、これについて以下に解説します。

 

〔ディープタムシャ(deeptamsha)〕

タジカ・アスペクトはその形成する角度が重要になってきます。
例えば、在住するハウス的には5-9でタジカを組んでいても、片方の星はほぼ0度近辺、もう片方の星は29度近辺では、5-9で組んでいても、ほとんどハウス一個分違います。(6-8や4-10に近くなる)
この場合、5-9アスペクトとしては、非常に弱くなります。

このアスペクトを組むのに、各惑星ごとに効力を発する角度というのが決まってきます。これをディープタムシャと言います。(※西洋占星術で言うところのオーブの概念に近いです。)

惑星

太陽

火星

水星

木星

金星

土星

ディープタムシャ

15

12

8

7

9

7

9

これは、互いの惑星のアスペクトが、どの程度離れたらイタサーラの効力がなくなるかを示す値となります。
2惑星間のディープタムシャは、互いの星の平均値になります。
例えば、月と土星なら、(12+9)/2=10.5度以内なら、ディープタムシャに入っていることになります。

この角度は惑星間の実距離のことではなく、アスペクトを完全な角度で組んだ場合から、離れている角度になります。

 

〔イタサーラの例〕

例えば、結婚できるか占うとしましょう。
プラシュナでのラグナが蟹座だとすると、対象となるハウスは7室の山羊座になります。
ラグナロードの月が獅子座の3度にあり、ディスポジターの土星が射手座の4度にあるとします。
この場合、月の方が速度が速く、土星の後方にあるので、この月は土星を捕まえることができます。
また、互いに5-9の関係で肯定的なタジカ・アスペクトを形成してます。
さて、問題のディープタムシャですが、互いの角度差が4-3=1度です。これは平均値(10.5度)以内です。
3つの条件をクリアし、イタサーラ・ヨガを組んでいることになります。
角度も1度と近いので、かなり近いうちに結婚できると判断されます。(←下記のプールナ・イタサーラに相当)

仮に、上記での土星が射手座の20度にあれば、20度-3度=17度で、10.5度以上となり、ディープタムシャの範囲を外れているため、イタサーラ・ヨガは組んでいないことになります。
この場合、結婚に対しては、否定的、もしくはイタサーラとしては良い効果が望めない結果となります。(※他の要因が良ければ、もちろん肯定的になります。イタサーラが組んでいないというだけです。)

 

≪イタサーラの種類≫

イタサーラには、以下の3つに分類できます。

ヴァートマーン・イタサーラ(Vartmaan-ithasala)
通常のイタサーラ・ヨガ。上記の3つに条件を満たす。イベントが起こることを示しています。

 

プールナ・イタサーラ(Purna-ithasala)
イタサーラの中でも、互いのタジカ・アスペクトが±1度以内にある時、プールナ・イタサーラと言う。すでに起こっているか、非常に近い未来にイベントは起こることを示します(※±1度以内というのは、コンジャクトと言う意味ではありません。正確なアスペクトからの位置(オーブ)です。)

 

バヴィシャット・イタサーラ(Bhavishat-ithasala)
現在はイタサーラを組んでいないが、近い将来にイタサーラを組む状態。
遅れて結果がやって来きます。
例えば、星座の29度50分に惑星があり、次の星座に入るとイタサーラを組む状態にある時、バヴィシャット・イタサーラと呼びます。また別の例では、ディープタムシャが範囲に入っていないが、速い星で、もうすぐ範囲に入る時も、このバヴィシャット・イタサーラとなります。

 

≪イタサーラ関連の派生ヨガ≫

イタサーラの派生的なヨガがあります。

マナウ・ヨガ(Manau-yoga)
イタサーラ・ヨガを組んでいるが、その速い方の惑星が凶星から、ディープタムシャの範囲内でコンジャクトまたはアスペクトを受けている時、イタサーラヨガはキャンセルされ、失敗を意味する。

 

ドゥパリ-クータ・ヨガ(Duphali-kutha-yoga)
イタサーラを組んでいる星において、遅い星の方が速い星に比べて強いとき、イタサーラはより好ましく、吉祥な結果を与える。

 

ドゥソサ・ダヴィラ・ヨガ(Duthotha-davira-yoga)
イタサーラを組む星が両方とも弱いが、一方が、(他で)強い星とイタサーラを組む時、このヨガは形成される。強い星から、もう一方の弱い星に力が移ることになる。他人の助けが入ることによりプラシュナ(質問)が満たされることを示唆している。

 

タンビラ・ヨガ(Tambira-yoga)
ラグナとディスポジターがアスペクトやイタサーラを組んではいないが、一方の惑星が星座の末端にあり、この惑星がもし次の星座に入ると、イタサーラを組む状態。これはラーシアンタ・イタサーラと呼ばれるバヴィシャット・イタサーラ(Bhavishat-ithasala)の一種である。遅れて結果がやって来ます。

 

〔イシュラーフ・ヨガ(Ishraf-yoga)〕

これはイタサーラの反対で以下の3つの条件を満たす必要があります。

①遅い惑星が速い惑星の背後にあること(遅い惑星は速い惑星に追いつくことができない)
②タジカ・アスペクトを互いに形成していること
③互いの星がディープタムシャ(deeptamsha)の平均値以下に入っていること。

このヨガは、質問に対し、良い結果をもたらしません。また、過去のイベントや過ぎ去っていることも暗示します。その場合、お互いの距離(角度)がその時期を示しています。

また、このヨガを組む惑星に凶星のアスペクト・コンジャクトがあると、より結果は悪くなります。さらに、このヨガを組む惑星が逆行していると最悪となります。

以上です。

前回のラグナに加え、このタジカ・ヨガを使うことにより、精度が一段と上がることになります。

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